閑話*1 雄英高校
「おっ、ジーニストさん。お久しぶりです」
「ホークス、珍しいな雄英で会うとは」
「ありがたいことに、うちの事務所も人手が足りなくなってきたんで」
「事務所といえば、聞きたいことがあった。複数人名義の事務所は、最近ではほとんど廃れてしまっただろう。なぜ今のような体制に?」
「オールラウンダーと遠距離サポートで相性は悪くないですし。俺は昼に強くて彼は夜に強いから、分担もしやすい」
「それだけか」
「まあ、合理的に考えた結果ですよ。ああ、あと、事務所のトップとサイドキックの実力差が逆転してると、組織としての在り方にも対外的な印象にも問題があるんで」
「……随分と、自分を過小評価しているんだな」
「してませんて。ま~俺としては、自分の名前は看板から下ろしちゃっても良かったんですけど、それだと彼の方が納得しなくて。そんなことより、俺はあの彼が素直にジーニスト事務所入りしたことの方が驚きましたけど。彼、元気にやってますか?」
「元気と怒気が過ぎるくらいだ。日に一度は「やめてやる」と絶叫している」
「はは、目に浮かびますわ」
「……久しぶりに会ったから思うのかも知れないが、随分と印象が穏やかになった」
「そーですか? 自分じゃ全然分からんです」
「そんなものだ。良い影響を受けているな」
では、と颯爽と去って行く長身の男の美しい歩き姿を見送り終えたホークスは、自分の頬を両手で挟んでむにゃむにゃと揉みながら、不思議そうに眉を歪めた。
「……もしかして俺、顔に出とーかな?」