ツキハヒガシニ

    

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紅備+シンラSS(シンラクサカベは受け入れられない)をまとめました

「三々久遠」https://mites787.sakura.ne.jp/enen/tenji...

タイトルは三々九度のもじりです
なお個々のSSは独立してるので言及がない限り他の話とのつながりはありません

pixivは紅備のタグを2025年にサルベージするのが目的だったからとりあえずもういいかな

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以下、知らんがなな話

「このセリフを新門紅丸に言わせたい!」を発端に書き始めたのに、途中から楽しくなりすぎたせいかすっかり忘れ、そのセリフを言わせずに終わらせてしまいました あ~~馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿
私の脳内にはあるのに…どうにも今更付け足せる余地がないので、またなんか別の機会に使いたいです
本来そのセリフが入るはずだったところに代わりに入れてたやり取りも悪くないというか収まりとしてはこっちの方がいいから結果オーライではある

なれそめ、プロポーズと書いたから3年目の浮気的なの書きたいな

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シンラクサカベは受け入れられない 8
これで終わりです


「子どもかァ! そりゃいたら楽しいだろうとは思うけど、でも欲しいからつくるってもんでもないしな」
 ラーメン屋でするには不向きな話題だったか、という俺の心配も余所に、桜備総隊長はほとんど間も置かずあっけらかんとした調子でそう答えた。俺たちはカウンターの一番奥の席に横並びで座り、注文したラーメンができるのを待っている。第8時代から通っている馴染みのラーメン屋は、再創造された世界でも変わらない味で営業を続けてくれている。とは言え、2人で来るのは随分と久しぶりだ。
「今は、それこそシンラの子どもとか、そのまた子ども達が無事に暮らせるような世界をつくりたいって方が大きいかもなァ」
 壁にかかったメニューを眺めながら、昼飯をどこで食べるのか悩むのと変わらないトーンで壮大な夢を口にする。自分の子どもと世界の平和、並べて比べる内容でもないと思うけど、平然と並べて考えてしまえるのがこの人のすごいところでもある。
「うーん? いや、無事にっていうよりは“楽しく”、か」
 そう言って、親指と小指を立てた右手を俺に見せながらニヤリと笑った。俺は照れ笑いで口元がひきつるのを感じつつ、同意を込めて同じハンドサインを返した。
「かといって、自分の幸せを諦めたとかじゃなくて、それが俺にとっては幸せのひとつでもあるってことな。そもそも、自分の幸せ諦めてないからこうなってるわけだし……」
 こうなってる、と濁した言い方をしながら指先で頬をかく。その様子を見て、俺もつい眉が下がり、詰まっていた息が自然と抜ける。本人に幸せなのだと言われてしまえば、出せる口は何もない。
「あの………総隊長は、新門総指揮のどこが好きなんですか?」
「おぉ、それ、知りたいのか?」
「総隊長が嫌じゃなければ」
 唐突な質問に明らかに困惑した表情を浮かべていたが、俺が早々引き下がりそうにないのが分かると、しばらく首を左右前後に捻りながら真剣に悩んでくれた。それから、悩まし気な表情で首を傾げたまま、への字になっていた口を開いた。
「うーん……シンラもそうだけど、やっぱ部下の前だとちゃんとしなきゃって意識が働くからか、ついカッコつけちゃうんだよなァ俺。だから今回のことも、なんか恥ずかしくて言うタイミング逃しちまって。隠してたみたいで、ごめんな」
「いえっ、俺の方こそ変な騒ぎ方をしてしまって、ご迷惑おかけしました」
 敬語で謝った俺の下げた頭に、諸々の反省がのし掛かる。一番の反省は、アーサーのようにうまく距離感を詰められれば、と思って結局できないまま今の今まで来てしまったことのような気がする。別に友達になりたいわけじゃないけど、せめてもう少し気楽に接せれていれば見え方も違ったかも知れない。俺は出会った時からずっと、この人の器の大きさに救われて、同時にそこに溺れてもいるんだ。
「それでまあ、そういう意味では一緒にいて気が楽なのかもな。上も下もないというか、展望(まえ)反省(うしろ)も無理して見なくていい感じが……いや待て、いいのかコレ?」
 そういう意味では、こうしてちょっと顔を赤くしながら困っている様子を見るのは貴重な機会な気がする。父でも兄でも、師匠でも、ただの上司でも、目標でも壁でもない。大隊長は大隊長なんだ。この人が国や世界を離れて一人の人でいられる場所があるなら、それは多分、俺にとっても幸せなことだ。
「あとまあ、本人の性格的にも、多少のことじゃ動じないくらい打たれ強いし、精神的に丈夫というか……」
 なんだろう。なんかこの前新門総指揮も似たようなことを言っていた気がするけど、黙っておこう。代わりに別の気になっていた事柄を思い出したから、そっちを話題にすることにした。
「そういえば、この前新門総指揮にお会いした時になんか変なこと言ってましたよ。なんか、サンコンがどうとか……」
「サンコン?」
「はい、盃の話してる時に……」
「ああ、多分それ三々九度のことだよ。原国式の結婚の儀式」
「けっ……!?」
「そうそう。大きさの違う三種類の盃で、それぞれ三回ずつ飲むから三々九度。皇国の結婚式は教会でやるのが普通だったから、俺らには馴染み薄いよな」
「そっ、そそうですね」
 結婚というワードをまったく受けとめ切れていない状態で同意を求められ、返事の声も思わず上擦ってしまった。それでも、桜備総隊長は特に気にした様子もなく、平然とした顔で話を続ける。
「いろいろ意味が込められてるらしいけど、三つの盃の内、小さいのが過去で、中くらいが現在、で、一番大きいのが未来を意味してるんだと」
 両手の親指と人さし指で大きさの違う三段階の円をつくって見せながら、そう説明してくれた。ちょうどそのタイミングで、二人分のラーメンが出来上がった。おまちどおさま、という声と共に背後から差し出され、それぞれの目の前に置かれたラーメンどんぶり。白い湯気とともに立ち上るおいしそうな匂いに思わず鼻の穴が広がる。
「大きい盃で未来の繫栄を祈るっていうからには、こんくらい大きければ安心感あるよなァ」
 ほら、と総隊長が自分のラーメンどんぶりを両手で持ち上げ、俺の方に近づけてきた。その行動に最初は困惑した俺も、すぐに意図を理解した。手にしていた割り箸を置き、同じように両手でどんぶりを持ったが、できたてのラーメンは普通に熱い。慎重にどんぶりを持ち上げると、ちょうど同じ高さになったところで、総隊長の方からどんぶりを近づけてくれた。手にした器の大きさに緊張しつつ、しっかりと両手で支え持って待ち構えていると、カチン、と陶器のふち同士がぶつかり硬く軽い音を立てた。
「俺とシンラと、この世界の未来に乾杯」
 笑顔と共にそう言われても、俺には無言で引きつった笑いを返すのが精一杯だった。そのままどんぶりに直接口をつけて塩辛い豚骨ラーメンの汁をすすりながら、口の中だけじゃなく目頭も熱くなってくるのを感じ、ぎゅっと目を瞑って耐えた。そして、たとえお互いが誰とどんな生き方をすることを選んだとしても、この先ずっと、俺はこの人と一緒に未来を創っていきたいと強く思った。いや、創っていくんだと、心に誓った。




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メモ

    
4/23 アニメ3話見た
箱乗りシーンの掛け声のアニオリがアドリブ感あってめっちゃ好き

あれ?大隊長なんか喋ってる?!と思ったけど猿轡するんだから騒いでないとおかしいわな

改めてあの状態でお出しされるまでにバン備でもモブ備でもあってしかるべきでは?!という荒ぶりと、大隊長なにをどうしても曇らせられないんだよな…の狭間

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3話じゃないけど ダークヒーロー秘密基地に秘密基地ってアガるよな!!の人を連れてってあげてほしい

    
今朝めっちゃ良いシュタインを見てしまって脳内ずっとシュタイン
シュタマリ書きたい
原作読めばええやろカプではある

メモ

    
04/22 なう
梅田サイファーのウルサイレン発売記念配信見てます
もしや原作ファンが名乗りを上げた結果があの参加メンツなのか?

書き下ろしジャケもいいけどOPEDともに通常版ジャケも良いんだよね
「強火」のあの、指を五徳みたいにしてるのめちゃカッコイイ

    
七式消防戦斧をかきたかった

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シンラクサカベは受け入れられない 7



「子どもなんてのは、その辺で拾ってくればいいだろ。俺もそうだったんだ」
 火縄副指令の助言に従い本人に伝えたところ、返ってきたのは、言われてみればないかにも本人らしい答えだった。今までに出自についてくわしく聞かされたことはないが、総指揮が先代の実の子どもでないことは浅草町内では周知の事実だから、俺も前に耳にしたことはあった。もちろん、そのことを気にするような人もこの町にはいない。
「ジジィも紺炉もそうだが、俺ァここの連中の誰とも血はつながっちゃいない。だからと言って縁が浅いとも思わねェよ」
 ここ、と言いながら顎で指し示したのは町全体のことだろうけど、俺はとりあえず目の前の見慣れた裏庭に目をやった。そういうことでもないんだけど、と言いたくても、伝わるように話せる自信もなく「はぁ」と曖昧な相槌を返す。
 思えば、浅草の詰所に訪れるのは随分と久しぶりだ。それでも、裏庭の土の色を見て匂いを嗅いだだけで、全身のそこかしこに負った傷の痛みとか、アーサーの間抜けな悲鳴とか、良いとは言い難い思い出が一挙に甦ってきた。
「――オイ紺炉! さっきから手ェ抜いてんじゃねェぞ! 病人面はもう通じねェからな!」
 と、今まさにその裏庭で俺が連れてきた新入隊員に稽古をつけてくれている紺炉さんに、総指揮が突然怒声を飛ばす。理不尽な罵りに対して、紺炉さんは「なんで俺が怒られにゃならんのですか」と困惑した顔で頭を掻いている。ちょっと俺と話すから、と新門総指揮から紺炉さんに指導が引き継がれて最初は喜んでいた隊員達は、遜色無い、むしろ一層厳しいしごきですでに死体と区別がつかない状態になっている。あぁ、懐かしい。懐かしさしかない。
 走馬灯を見て思わず遠い目になる俺と身勝手に活を入れて満足したらしい新門総指揮の間に、しばらく沈黙が流れる。死にかけの隊員の呻き声と鳥のさえずりをBGMに1分ほどたったところで、先に口を開いたのは新門総指揮の方だった。
「それで…………この前は悪かった」
 俺は、まず自分の耳を疑った。今謝った?誰が?混乱のあまり、一瞬自分の目の前にいる人がどこの誰なのかが分からなくなった。
「イエ、俺の方こそ、出すぎた真似を……」
 駄目だ、驚きで言葉が続かない。冷静に考えれば、俺の方からもっと早く先に謝りに来るべきとこなのに、咎めるどころか自分から謝った? これが本人だけの意思とは思えないけど……と考えていると、つい目が竹刀を振り上げている紺炉さんの方に動く。
「もし他にも聞きたいことがあるなら答えるが」
「え、なんでもですか?」
「ああ。ただし、くだんねェ質問だったらたたっ切るぞ」
 つい喜びに顔を綻ばせてしまった俺に、すぐ牽制が入る。じゃあそれって、なんでもいいとは言えなくないか?と疑問が浮かんだけどスルーした。さっきから新門総指揮の目線はずっと縁側の方を向いているから、俺の位置じゃ横顔しか見えないし目も合わない。どこまでが本気でどこまでが冗談か判断がつかなかった。
「そしたら、桜備総隊長の、そのー、どこが好きなんですか?」
「初っ端からくだらねェな。……しいていえば…頑丈なところか」
 そりゃ、総隊長以上に頑丈な人は世界広しと言えど中々いないだろう。恋人を好きな理由としては特殊な気がするけど、嘘ではなさそうだ。まだ俺の方がまともな理由を挙げられそうな気がしてしまうけど、しかしまあ、俺相手に言えるのはこんなもんか。
「じゃあ……そもそも、何がきっかけでお付き合いすることになったんですか」
 その質問に対して、答えよりも先に、カチャッと鯉口を切る音が響いた。怯えた俺は、思わず全身を震わせ両手を咄嗟に自分の体の前に出した。が、2、3秒の間を置いて再びカチャ、と音がして、指揮官の手元では親指が刀身を納めていた。
「……お前、桜備が泣いてるの見たことあるか?」
「え? いや、多分無い……かな?? そもそも泣いてるイメージが全然ないですね」
 突然の質問に首を大きく捻り、慌てて記憶の箱を引っ掻きまわす。そもそも人が泣いてるとこ自体があんま見ないけど、特に桜備総隊長は普段から笑ったり怒ったり感情表現豊かな割に涙のイメージが全然無い。その点、冷静沈着な火縄副指令の方がまだ想像しやすい。ああ見えて、動物が死ぬ映画とか見るといいとこで涙ぐんでたりするし。
「俺も無かった」
「無かった、ってことは、見たってこと……ですか?」
「まぁな」
「えっ、なんの時ですか? なにが理由で?」
「俺が泣かせた」
「げ」
 思わず、上官の言葉に対する反応としては不適切な声と表情が漏れ出てしまった。
「泣いてるとこが見てみたくて泣かせて、それを見た時に、この先俺以外に泣かされるようなことがあったらソイツを俺が殺すと決めた」
 正直俺には理解しがたい感覚だが、この人が言うと妙に説得力がある。本当に殺しそうだし。
 将来的に出るかもしれない被害者を哀れに思ってゲンナリとした顔をしていると、新門総指揮が右腕を持ち上げて片肌脱ぎながら、突然話を変えた。
「シンラ、お前もう酒呑める齢だよな?」
「まぁ、一応は……」
「お前のことを弟子だと思ったことはねェんだが、事実だけみればそうなっちまう。俺はそれが嫌なんだよ」
 ほれ、と雑に渡された杯を、慌てて両手の平を差し出し受け止める。何がしたいのか、意味を理解した俺の内心では、緊張に心臓が跳ね始めていた。かつて、杯を交わすその場にも、そこに至るまでにも居合わせた。小さな杯でもずしりと重みを感じる。俺は縁側の外にぶら下げていた足を引き上げ、新門総指揮の方を向いて居住いを正した。
「……さっきの話だが、血の繋がりがある家族が欲しいと思ったことが、まったく無いって言ったら嘘になるかも知れねェな」
 新門総指揮が、大きな酒瓶を膝の上に抱え、蓋を捻り開けながら言った。
「ただ、今の世じゃ大事なのは血よりも魂だろ。姿形を作るのが血だとしたら、もっと芯の部分を作ってんのが魂だ」
 淡々とした調子で話しながらも動き続ける手で、俺が両手で差し出した杯にトクトクと透明な液体が注がれていく。縁側に差し込む太陽の光を反射して、黄色っぽい水面がキラキラと輝いて見える。新門総指揮が胡座をかきなおして俺の方に体を向ける。正面で向き合うと、両方の赤い目の色もハッキリと、炸裂した花火みたいに輝いて見えた。
 スッとこちらに差し出された杯に、俺も手の震えを必死に押さえながら応える。
「だから、俺の血が誰にも繋がらなくても、俺の魂はお前が代わりに未来に持ってけ」
 そう言って微笑むと、杯に口をつけ一気に中身を煽った。俺も慌てて真似をし、陶器でできた杯に口をつけた。が、飲んでしまってから思ったけど、日本酒を飲むのは人生で初めてだ。うまいまずいの次元じゃない。それに、これはただの酒じゃなくて人類最強の男の魂の欠片が入っている。火の玉を飲まされたようなしんどさだった。それでも、言われた返事はしなければと喉の違和感に堪え、できるだけ真面目な顔をつくる。
「……はい。了解です」
 俺の返事を聞いた新門総指揮は、なんでこうなるのか未だに分からない酔った時の妙な笑顔で頷いた。それから突然その場でスクッと立ち上がると、一度遠くの方に目線をやってから、頭を斜めに傾けて俺を見下ろした。
「……桜備とも、その内別の杯を交わすことになる。三献の儀は本当は神様の前でやるもんだが、生憎浅草(ここ)には決まった神様がいねェからな」
「さんこん?」
「だから、そん時はお前が立ち会え。森羅…万象マン。曲がりなりにも神様なんだろ」
「いや、だから! 俺は神様じゃないって、いっってぇ!!!?」
「オラ、おしゃべりは終いだ。まさか茶と酒だけ飲んで帰れると思ってねェだろうな?」
 突然の背中への衝撃の後、頭上から明るい声色で不穏な言葉が振ってきた。縁側から蹴りでど突き落とされた俺は、手の平と頬で感じた土の感触に、過去の辛い記憶が今から上塗りされる恐怖の予感がした。


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